のんびり今日この頃。

3)斜めだねぇ・・・

朝、目が覚めるとまだ5時半だった。ぬるいシャワーを浴びてみんなが起きるのを待った。八時すぎに起きたakimoにパスタ作ってと頼んだら
「朝からパスタ食べたいの?」
と驚いた。朝食は軽めのイタリアでは、朝からパスタはあまり食べないらしいが、作ってくれた。ちょっとしょっぱいけど おいしかった。

10時半ごろ部屋を出て駅に向かう。気持ちいい小春日和で歩いているとうっすら汗をかくほど。僕が来る数日前までは雪が降りとても寒かったとは思えない。ピサ行きの電車はすぐにあり うまい具合に座れた。ピサはここから電車で一時間。日帰りで十分観光できる。

ところがその車両には、わいわい大声で話している女子大生らしい5、6人のグループ。フィレンツェでは日本人は珍しくなく、こんな光景は日常茶飯時なんだろうなあ・・・と、自分も観光客なことを棚に上げて思った。
しばらくすると 検札のおっちゃんが来た。ボンジョルノ!とあいさつをし、切符を見せた。パチッと切符に穴をあけ、グラッツェと返してくれた。
すると後ろから笑い声が聞こえる。
「これって始末書みたいなもの?」「これも旅の記念だよね、あはは」
振り返ると隣りの女子大生のとこでおっちゃんは何かを書いてお金を受け取っている。あぁ、多分やったんだなあとakimoと話した。
イタリアの鉄道に改札はない。だから切符がなくても電車に乗れてしまう。また切符をもっているだけでもダメなのだ。ホームにある機械で切符に日付を刻印して初めて日本の改札を通ったことと同じ意味になる。彼女らは切符は持っているが刻印していなかったらしく、無銭乗車となったのだ。いくらペナルティを払ったのかは知らないが そんなことはどのガイドブックにも書いてあるのに・・・。

ピサは小さい街だが大学があるので若者が多く、また海が近いのでフィレンツェとは雰囲気も違う。目指すピサの斜塔までは約2キロ。迷わず歩いて行く。ところが道中に日本人はいない。結構、駅にはいたのだがみんなバスで行ったのだろうか?
斜塔に登る気まんまんで来た僕と違いakimoはピサに来ること自体あまり乗り気ではなかった。ところが二人の気持ちは斜塔を見たら変わった。「うわっ!すげ~斜め!」なんとも当たり前の表現だがそれ以外適切なことばが見つからない。芝生の上で15分ほどビールを飲みながら眺めた時、二人の気持ちは一致した。
「さあ メシ食べて帰ろう!」
決してつまらなかった訳ではない。ただ眺めているだけでも十分満足なのである。それ以上でも以下でもないという気持ちだった。


コレは裏側からの写真。ガイドブックとは反対向きに傾いてるでしょ?


フィレンツェに戻ると、靴屋を中心にぶらぶら歩いた。革製品の街としても有名なので革靴を買おうと思っていたのだ。ウィンドウショッピングをしていたらカタコトの日本語ができるおっちゃんに呼び掛けられた。
「ヤスイヨ、ハイッテミテッテ」
うさん臭さを感じながらも店に入った。靴はあまりいいものがなかったが、結構気に入ったバッグがあった。E220と書かれた値札を指差し110までまけると言う。それでも悩んでいると99まで下がった。akimoに「80まで下がったら買おうかな」って言ったら苦々しく笑った。多分わかったんだろう。「他の店を見てから また来るね」と英語で言うとわかってないみたいだったから「ノングラッツェ」と言ったら笑顔が消え「グラッツェ」と言った。

その店から 3分ほど歩いた広場に露店がありそこで全く同じバッグを売っていた。
「クワントコスタ?」(これいくら?)と聞くと95だと言う。じっくり見てもさっきの店のものと少しも変わらない。akimoが「ここなら80までは下がるよ」と言ったがもう疲れたので買わずに帰った。

部屋に戻り、晩ご飯の買い出しに近所のスーパーに出かけた。
フィレンツェらしいものが食べたいなあ、という僕のリクエストを受けてウサギになった。パックのお肉は鳥や豚のかわいらしい絵が書いてあり、ウサギも同様にかわいらしい絵が書いてあった。当然、丸々一匹で、毛や皮はなかったがなんとなくウサギの面影があった。「うさちゃんの煮込み」は、鳥肉とあまり変わらない食感で、おいしかった。料理人と同居してると楽チンだなあ。毎日がイタリアンで、トスカーナ料理だもん(笑)


うさちゃんです。



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